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楽器オモテウラ話 2004年3月号
(テキスト:西尾健二)

ためになるかどうかはあなた次第!?
「ドラマーのための雑学講座」

 ドラムセットという楽器はたくさんのパーツ(楽器)によって形成されており、プレイヤー個人個人が自分にあったセッティングをしています。したがって100人のドラマーがいればおそらく100通りのセットが存在します。組み合わせが同じであっても音作りが違えば違うセットと言えるからです。

 しかも、叩き手が変わればまったく同じセットであっても違うサウンドになってしまうという厄介な楽器でもあります。

 そんな中でドラマーが音作りに最もこだわり、ドラマーの個性が如実に出る物のひとつにスネアドラムがあります。

 今回はこのスネアドラム、しかもスナッピーという部分に焦点を当てて話を進めていこうと思います。



第1章 スナッピーが命です

 皆さんがスネアの音作りをするときに考える要素にはどんなことがありますか?

 シェルの素材、シェルのサイズ、ヘッドの種類、チューニングなどは結構真剣に考えていることでしょう。しかしスナッピーについてはヘッドを選ぶ時のような悩みを相談する人は少ないです。

 でもちょっと待ってください。

 スネアドラムサウンドの最も特徴的な要素の一つがスナッピーサウンドなんです。
 あの「バシャ!」というノイズ音こそがスネアの生命線であり、材質の違いはもとより、セッティングの仕方やチューニングによっても大きくサウンドが変えられる重要なパーツなんです。

 スナッピーの重要性をしっかり認識し、種類や取り付け方によるサウンドの変化を研究することで、あなた自身の求めるサウンド作りがよりいっそう導き出せるのです。



第2章 スナッピーの種類

 スナッピーと単純に言ってもその種類は様々です。

 ワイヤーの本数、長さ、ワイヤーやエンド部分の形状や素材、さらにワイヤーの巻き方等色々な要素が存在します。

1,ワイヤーの本数

 現在一般的なのは20本。その他12本〜42本まで色々と発売されています。本数が少なければ当然ノイズ成分が減りいわゆる「ドライ」なサウンドになります。また、この本数はノイズ成分の音量にも大きく影響し、本数が多ければ当然「ザ!」という音が目立つ音になっていきます。

2,ワイヤーの素材

 素材も色々ありますね。現在最も多く発売されているのは「ハイカーボンスティール」です。
歯切れのよさと音量、切れなどのバランスがいいモデルです。その他ステンレススティール、ブラス、ブロンズやギター弦のようなワウンドタイプ、ナイロンケーブル等があります。また同じスティールでもメッキの有無によってもサウンドが大きく変わります。

 基本的に硬い素材からは固めの、重い素材からは重めのサウンドが得られやすいと思います。
 重量は反応速度にも影響してきますが、色々な要素が絡み合ってきますので、単純には決められません。


3,エンド部の違い

 私はスナッピーエンドと呼んでいますが、要するにスナッピーのワイヤーが固定されている両端の金属またはプラスティックのプレートのこと。この部分の素材や形状によってもスネアヘッドとのコンタクトの仕方が変わりサウンドに変化をもたらします。

 素材としてはスティールやブラスが一般的で、その他コパー(カッパー)やプラスティックなどがあります。この部分もメッキの有り無しで変わりますね。

 また、形状も色々ありますが1度このあたりのことを気にしながらスナッピーを試してみると面白いと思います。


4,その他

 以上のような要素の他にもコイル(波)形状の違い、波の有り無しなど本当にたくさんの選択肢があります。
 1度自分のスネアに色々なスナッピーをつけて遊んでみてください。大げさでもなんでもなく、次々と違う楽器になっていくことがおわかりいただけると思います。




第3章 スナッピーのセッティング

 先にスナッピーのセッティングでも音が変わるといいました。これはただ単に取付方のみではなく

「張り具合」
「取付位置」
「取付方法(取り付けるためのパーツ)」

など、総合的な意味でのセッティングになります。


1,取付位置

 なかなか難しい作業ですね。
 スナッピー取付の上達の近道は経験しかありません。一朝一夕で上手くなるはずがありません。などと言ってしまっては元も子もありませんので、少しだけコツを!

 とにかくスネアサイドヘッド面に対して並行に、しかもど真ん中に当たればいいわけです。
 最近にスネアは片側調整タイプのスイッチが多いので、スイッチ操作をしてもエンドプレートが動かない側(一般的にはバット(固定)サイド)の位置を決め(このとき左右均等にスナッピーがヘッド乗るようにするわけだ)、その後スイッチ側を決めるやり方がやりやすいでしょう。
 この際、スナッピーがまっすぐ固定されていることに注意しましょう。

2,張り具合

 取付が完了したら次はスネアサイドとの接触の仕方を調節します。かなり緩めの状態から徐々に締め上げていき、アタック感と残響感のバランスが好みになるポイントを探します。
 くれぐれも注意しておきますが、必ず締めながら決めていくこと。緩めた場合は必ず一度スイッチをオフにして再度スイッチを入れなおしてください。こうすることで確実な音決めが可能になります(これはヘッドのチューニングでも同じです。必ず締めながら決めること)。

3,おまけ知識ですがとっても大切な取付パーツの違いによるスナッピーサウンドの変化

 最近ドラムシティではオリジナルと称した怪しげなスナッピーを発売しました(興味のある方はお試しください)。
 このスナッピーを発売するに当たってスナッピーを固定するためのテープやコードをどうするか非常に悩みました。そしてあれこれ研究していくうちに面白い発見があったのでここで大公開いたします(といってもたいしたことではありませんが.....)。

 スナッピーテープやコードの選択基準は結構強度に主眼を置いている人が多いと思います。
 また漠然とテープは強く、コードは弱いけど反応が良いんだよなんて考えている人も多いことでしょう。ここでいった反応の違い、これがミソなんです。

 スナッピーを固定するテープなりコードの素材の違いや強度、重量などがスナッピーの反応、残響に大きくかかわっていたのです。詳しくは内緒にさせていただきますので皆さん興味があれば色々と試してみてください。

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