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(テキスト:ヤマムラマキト)

“この人キテます! 〜ドラムバカ一代〜”

マルコ・ミネマンの巻 その2

 前回ここに書いた後、ゲットしました。

「EXTREME DRUMMING / Marco Minnemann 」

 ワーナーのDVDで、日本発売元はヤマハミュージックトレーディングです。
 このDVDは、以前リットー・ミュージックのドラムマガジンでも取り上げられていて、菅沼孝三さんが「二度繰り返してみると吐きます」なんて評しておられました。
 私はといえば、教則本のCDからいろいろと想像が膨らみ、恐怖心やら期待感やら入り交じりながら、ようやくじっくり分析とする環境となったのでした。

 ここではそのレビューといきたいのですが、実はまず最初に言うべき事として、手に入れてからもう随分経ちましたが、実はまだ全部見てません(笑)いや、あのですね、なんちゅうかごっつい量の演奏なんですわ。DVDをスタートさせると、教則本のCDにも収録されていた楽曲「Streets」が始まるんです。「おぉこれやこれや」「あ〜、なんかセッティングが神保彰さんみたい」「なんじゃ、札幌とプリントされたシャツ着とる...」「それにしてもよく動くなぁ」「ていうか左足で叩いてるミニスネアは何者...?」などなど...。

 そうして映像が進むに連れ「今度はバンドで演奏しとる」「普通の演奏も実にちゃんとしてる...」「シンプルな演奏でもスネアのタイムが気持えぇのぅ」「あぁ、今のもっかい見たい」「うげ〜ようわからん」「ところでこの演奏、一体いつまで続くのかや...」という状態になっていきます。結局、今日までに私はデモ演奏部分はほとんど見ましたが、テクニック解説の部分はまだ全部見てません。そんだけ凄い量なのです。

 最近、この手の教則ものもDVDが多いですが、中身が濃い上に収録時間も長いです。このDVDで225分。時間だけを見ればこれが特別に長いという程ではありません。見ていてとても楽しいのですが、これは全体通してのレビューはとても大変です。ましてや、私は見るたびに結構熱くなってしまい、冷静な分析に至っておらんのです(^_^;)

 そこで、デモ演奏の中でもお気に入りを紹介しましょう。解説書にある曲順番号でM10となっている「MOTOR」という曲、これが実に楽しい。テクノチックなシーケンスにスネアのロールから始まるこのパフォーマンスは、中盤にテンポが変わるのですが、そこでのパターンで3台のハイハットが代わるがわるオープン・クローズを繰り返すんですね。すごいテンポで、ものすごい忙しいドラミングなのですが、それがなにやら蒸気機関や工場の煙突を模したイメージ画像のようでもあり、なんちゅうかゲルマン民族恐るべしのひと言で、もう笑うしかないのです。これ、誤解をして欲しくないのは、可笑しくて笑ってしまうというのではなく、ただもう唖然として、顔がひきつってしまう感じ。でもですね、そんな演奏を見ても、やはり前回ここに書いたように、「うわ〜!俺もやりたいようにやりてぇ〜」という気にさせてくれるのですね。マルコのような事はとても出来るものじゃないんですが「俺もこんな風に活き活きとドラム叩きてぇ〜」てな感じなのです。そう言う意味では、楽しくて笑っちゃうって感じの方が近いかもしれません。

 この曲の後、延々と続くドラムソロになります。スティックや楽器の選択、チューニング、ストロークやフィンガー・テクニック、そしてなんといっても無茶なほどのインディペンデンスなど、見どころは満載です。

 まぁ、とにかく機会を作って見てみましょう。好みのドラミングであろうがなかろうが、一度は見て置きましょう。もちろん、超絶技巧の人は他にもいますし、誰が一番という話しでもありません。とにかく「この人ったら元気です!見てみてよ!」って感じなんです。

  


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