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(テキスト:石川 武)


第一回 ラルフ マクドナルド

プレイ・・・ラーセン・フェイトン・バンド   「SUDDEN SAMBA」


 記念すべき第一回はやはりラルフか・・・なぜって?それはやはり、私をパーカッションの深い世界へいざなってくれた人だからです。今回のプレイは「SUDDEN SAMBA」だけど、本当は何でも良いのです。というより、たくさんありすぎるのです。なにがって?カリプソですよ。ラルフのカリプソ・ベースのパーカッション・プレイ。

 今から20数年まえ、まだ巷はラテン、サンバがパーカッション・プレイの主流だったころのこと。僕が始めて意識してラルフを聞いたのは渡辺貞夫さんのレコードでした。まだ僕がドラムマガジンなどへの寄稿を始める前の話です。

 何曲かのラルフが参加したものを聞いて、「ずいぶんポップなサンバだなぁ・・」などと考えていました。まあ、僕のように考えていた人は多くはないにしろ、何人かはいたはずです。

 その後ドラムマガジンを書き始めて、色々調べていくと、それが「カリプソ」であると判明したわけです。


 今回の「SUDDEN SAMBA」も、文字通りサンバとされているのですが、実はリズムアレンジの要素は、9:1くらいの割合でカリプソ寄りといえるでしょう。

 カリプソはサンバや他のラテン音楽と共通点は多いものの、進化の過程に打ち込みが入ったこと等の理由で、伝統的な側面と同じ位ポピュラー色も同時に強まっていったのです。近年においてはソウル、ヒップホップの要素なんかも積極的に取り入れてきました。
 したがって、このカリプソのパーカッション・パターンは、様々なポップス、また、現在ではエレクトリック・ジャズなどといわれている、いわゆるフュージョンの先駆的な楽曲にも数多く取り入れられたわけです。

 当時USAのパーカッション・レコーディングではファースト・コールの一人であったラルフは、数多くの曲にこのカリプソ・パターンを流用していきました。その中には私たちがしょっちゅう耳にしたヒット曲も多かったわけです。貞夫さんのカリブ系フュージョン曲なんかもそんなもののひとつでした。

 そして今回の「SUDDEN SAMBA」も文字どおりそんな曲で、僕にカリプソの流用方法を考えさせてくれた大切な曲のひとつなんです。その後様々なポップ、流行歌の現場でこのパターンが役に立ったことは言うまでもありません。
 
 皆さんもそんな側面からこの曲、もう一度聞きなおしてみてください!納得するポイントがたくさん隠されていますよ!

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