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(テキスト:萱谷亮一)

・ここ試験に出ます_8月号

まずは宿題の解答と解説でっす。やってない人は先月号へ戻ってやってみましょ。
問 次の文章のうち、正しいものには○を、間違っているものには×をつけよ。

1.コンガよりボンゴの方が大きい。 

 答え:×  「コン!」より「ボン!」のほうがなんかデカそうなのは、わからなくもありませんが、間違えた人はこれを機に覚えましょう。

2.オーケストラで使う楽器の中で、最も音域が高いとされるのは、ヴァイオリンである。
 答え:×   一般的にはグロッケンシュピール(Glockenspiel)だといわれています。ヴァイオリンやピッコロも相当音域高いんですけどね、打楽器にはかないません。
 ちなみにトライアングルはオケ全体がff(フォルテシモ)で鳴ってる所でp(ピアノ)で叩いても聞こえちゃうらしいよ。

3.指揮者の岩城宏之氏は芸大の打楽器科を卒業している。
 答え:×    引っかけ問題です。岩城さんが芸大の打楽器科出身ってことは有名ですが、卒業はしてません。中退です。
 何ヶ月か前に彼の打楽器リサイタルがありました。あの歳で、委嘱作品を含んだリサイタルをやるというのはもう「凄い」の一言です。学生の時、岩城さんの指揮でオケを何度かやりましたが、棒振ってるときの顔も「凄い」の一言です。

4.チック・コリアは昔モンゴ・サンタマリアのバンドにいた。
  答え:  あまり知られていない話で、意外な組み合わせですね。チックは何でも出来ちゃうんですな。最近の「Origin」や「New Trio」では、マリンバや打楽器も叩いちゃってます。*一緒にやってるジェフ・バラードというドラマーは、要チェックですよ!

5.猪俣猛氏は、NHK交響楽団と共演したことがある。

 答え: バーンスタインの「シンフォニックダンス」でドラムやってます。何年か前には大坂昌彦さんもやってました。オケのドラムは独特の緊張感があります。

6.江尻憲和氏は、サントリーホールで演奏したことがある。
 答え: 何度か経験してると思いますが、僕が知ってる限りでは、僕が小学生くらいの時に「猪俣猛軍団vs有賀誠門軍団」という非常に興味深いコンサートに出演してました。もちろん猪俣軍団ですよ。大ホールは舞台の後ろにも客席があり、オケの打楽器パートはすぐ後ろにお客がいて、緊張感倍増です。小ホールではエレクトーンの「平沼ユリ」さんのリサイタルが8年くらい前にありました。僕はその時ボーヤでした。
 ちなみに僕もサントリーは大小出演経験アリです。

7.シンバルは薄い方が高い音がする。
 答え:×   間違えた人は「楽器オモテ・ウラ話」の5月号読んでませんね!
 
こないだコマキで、「西尾さん以外のコマキの店員さんはボカーンの連載読んでんの?」ってきいたら「毎日聞かされてることばっかだからあんまり読んでない」とのことでした。

8.ピーター・アースキンの奥さんはモンゴル人だ。
 答え:×  日本人ですって。なんか関係ないけどうれしくありません?

9.アート・ブレイキーは左手だけでロールが出来る。 
 答え:(?)   伝説ではそういわれてますけど、見たことないし・・・。でも彼が死んだニュースをワイドショーで知って、「ジャズドラマーなのにワイドショーに取り上げられてすげー」と思いましたね。彼のロールは「ナイアガラの滝」って呼ばれてたそうです。音源を聴くと確かに凄いロールです。 

10.バディ・リッチは実は猿だ。
 答え:○  あ、間違えた、×です、×。 いまだに彼を越えるドラマーは存在しないんじゃないでしょうか。同じ人間とは思えない。・・やっぱ猿なのかな。

11.ドラマーは“ぢ”になりやすい。
 答え:  これホントです。気をつけましょう。あと「ガニ股」にもなります。僕も最近カホンにばっかり座ってるのでヤバイかも知れません。(*僕はまだ「ぢ」ではありませんので。)

12.アフリカ人はみんなリズム感がイイ。
 答え:×  アフリカに毎年行って、現地の人と交流してる知り合いのパーカッショニストに聞いたところ、どうしようもないヤツもいるんだそうです。ちょっと安心 。

 こちらから見ると黒人はみんなリズム感良さそうに見えますけどね。W杯のセネガル
代表チームなんか絶対リズム感いいと思いませんか?
「異分野交流のススメ」その2
 つい先日、ロックギタリストのスティーブ・ヴァイが来日し、佐渡裕指揮、東京都交響楽団と野平一郎作曲のエレキギター協奏曲を世界初演しました。
 当日はロック野郎がサントリーホールに集結、協奏曲の他に、バーンスタインの「キャンディード序曲」、ストラビンスキーの「春の祭典」を堪能しましたとさ。

 いいですねぇ、異文野! このコンサート、なにが良いって、ロックファンもクラシックファンもいつもと違う感じのコンサートが楽しめたってことに加え、ロックファンは普段聞いたことのないであろう大編成オーケストラで「春の祭典」が聴けたって事!
 だってあの曲、ロックだもん。きっと「クラシックつまんねぇ」って思いこんでたロック野郎の心にもグッと来るものがあったでしょう。そういう意味では今回の都響のプログラミングは素晴らしかったと思います。
 逆にクラシックファンは「エレキギターってうるさい音だけじゃないんだな」と今更ながら気づき、ザッパバンドを聞くきっかけになった人もいるかも知れません。
 かのスティーブ・ガッド先生も昔バッハのレコードに合わせてドラム叩いてたらしいし、キース・ジャレットもチック・コリアもミッシェル・カミロもクラシックのアルバム出してるし、ローリングストーンズのチャーリー・ワッツもカッコいいジャズやってるし・・・。

 これ一筋!!っていうのも確かにかっこいいけど、今の時代は、K-1やPRAIDのようにいろんな要素が集まって新しいモノが出来ていくような気がしてなりません。
 なので僕もなるべくいろんな音楽に触れて、邪道といわれようが中途半端と言われようが、マルチな打楽器奏者になりたいな、そして何か新しいことが出来れば良いな、と思っている今日この頃でございます。

 まぁ、ボカーン読者の皆様は多分クラシック系が一番疎いと思われますので、ここで 一つ、「ロックしてるクラシック」あるいは「スウィングしてるクラシック」を軽〜くご紹介しましょう。



☆グレン・グールドのピアノ、パブロ・カザルスのチェロで聞くバッハの音楽 

 「音楽の父」といわれてる大バッハの作品もマルムスティーンやMJQなどがそれぞれの分野で上手く料理していますね。グールドやカザルスは譜面通りやってるんですけど、なんていうか、グルーヴしてる感じがするんです。クラシックなのに。グールドは「ゴールドベルク変奏曲」または「フランス組曲」、カザルスは「無伴奏チェ
ロ組曲」がおすすめです。RIZKENに資料あり。 

☆ストラビンスキー、ショスタコーヴィッチ、ムソルグスキーなどロシア系作曲家の大編成管弦楽曲


 ムソルグスキーの「展覧会の絵」といえばエマーソン・レイク&パーマーが30年も前に異分野交流してます。プロムナードは13CATSなどもアルバムの1曲目に使ってますし、先述のストラビンスキーの「春祭」「火の鳥」、ショスタコの5番、7番など、ロシア系の大作は歪ませたギターの似合う、ロックに通じるモノがあります。

☆メシアン、ヴァレーズなどの現代曲

 いわゆる「現代音楽」の走りとなったヴァーレーズ。13人の打楽器奏者のための「イオニゼーション」は打楽器界に新たな可能性を提示しました。コアなプログレロック好きならメシアンの「トゥーランガリア交響曲」も聴けるかも。30分以上あるけど。

☆スティーブ・ライヒ、マイケル・ナイマンなどのミニマムミュージック

 ミニマムミュージックというのはバリ島の「ケチャ」のように最少フレーズを反復させたり組み合わせたりして構成させた音楽のこと。ライヒの作品は聞きやすいモノが多く、リズムが面白い。最近ではクラブシーンでも注目されてます。マイケル・ナイマンは「ピアノ・レッスン」などの映画音楽で有名ですが、現代音楽の大家です。ミ
ニマム系の曲も沢山あり、万華鏡のように綺麗です。
 もし聴いたことがない曲があったら、是非聞いてみて下さい。「クラシックにもノリがある」ってことが良くわかりますよ。
宿題 打楽器小テスト

問. 次の人物から連想されるユニット名を答えよ。

1.マイク・マイニエリとマイケル・ブレッカー

2.スタンリー・クラークとアイアート・モレイラ

3.ラウル・レコーとカール ペラッツォ

4.山下洋輔とヤヒロトモヒロ

5.安倍なつみと辻希美

解答&解説は来月号にて!
萱谷氏の個人ホームページもあります!こちらから!→http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/4327/

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