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カリエンテカリエンテ 2003/11月号

●南米の音楽

○ブラジル

◎ボサノヴァ

 ブラジルにはリオデジャネイロという都市があり、そこに中産階級と呼ばれる結構な収入と地位を確保している市民が存在していた。
 こういった家庭に生まれたカルロス・リラやナラ・レオンは輸入盤を通じてジャズをはじめとする海外の音楽を聴いており、彼らはもっと、自分たちの心情を歌った歌を求めていた。そしてギター片手に創作に励み、弁護士の娘だったナラ・レオンのアパートの一室で自作の曲を披露しあっていたのが、ボサノヴァの始まりである。

 もちろんボサノヴァの成立にはジョアン・ジルベルトの存在抜きには語れない。故郷のバイーアからリオに出てきて音楽活動をしていたが長続きせず、暫く姿を消したものの、ある日突然舞い戻ってきてバチーダというリズムを発表し、受け入れられた。彼はかなりの奇人だったらしく、居候先の友人宅の風呂場に閉じこもりこのリズムを生んだらしい。
  次に、そのリズムに乗せて歌われる「ワンノート・サンバ」、「デサフィナード」などの名曲をつくったコンポーザー、アントニオ・カルロス・ジョビンも外せない。彼はジョアン・ジルベルトを育て上げた人物でもある。一歩間違えばただの奇人変人で終わったかもしれないジルベルトを、世に天才と認めさせたのだ。そして彼も中産階級の人々と交流をもちながら新しいスタイルを作り出していった。

 ボサノヴァの基本的なスタイルはやはりサンバの2拍子にあり、ギターのフレーズもタンボリンのパターンや、パチードアルトと呼ばれるスタイルを使っていることが殆どである。さらにあの複雑なコード進行についても、ブラジル音楽の中で培われてきたギター奏法の伝統を受け継いだものだという。つまりジャズの要素はあるものの、それほどに大きなものではなかった。

 しかし、非商業的なボサノヴァが爆発的なヒットをしたのが、59年にレコード会社の反対を押し切ってリリースしたジョアン・ジルベルトの「シェーガ・ジ・サウダージ」である。そして、誰もが知っている「イパネマの娘」が含まれたアルバム「ゲッツ・ジルベルト」も世界中にブームを巻き起こすきっかけとなった作品である。しかし、このアルバムをきっかけにボサ・ノヴァがジャズとの関係を深め、次第にその影響下に収まりだしたとも言われている。


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